デザイン
お久しぶりです。
クリエイティブディレクターの新谷です。
前回の更新から日が空いてしまいました。すみません。
その間、ずっと書いてもらっていた羅社長には感謝してます。
前回は「情報量と記号」というテーマで少し執筆いたしました。
このテーマについての執筆はまだ途中ではありますが、その続きはまた後日、まとめます。すみません。
本日は”東京”という名前について、お話しようと思っていたのですが、その前の話を書いていたら長くなってきたので次回にいたします(笑)。
私たちは広告の”デザイン会社”としてこの会社を設立いたしました。
したがってやはり、”デザイン”の社会における意義については、はっきりさせておく必要があります。
ただデザインといっても多種多様で、家具から国家まで、鉛筆やロケットの燃料タンク、さらには絶対達成するチームや恋人関係すらも”デザイン”されています。
ここではシステム系のデザインの話は棚に上げて、私の専門である(目に見える)モノのデザインについてのお話をすることにいたします。
私が考えるデザインの役割の一つは、人の心を動かすこと、です。
(目に見える)モノには人の直感や感情に直接働きかける力があります。
プレゼン資料を用意するとき。数字やロジックフローはグラフや図式にした方が文字のみで示すより分かりやすいですよね。
これは簡単な例ですが、もっと感覚的なものはどうでしょうか。
フローリングの床は座ったら行儀が悪いような気がする。床が畳であれば、まあ座るか、と感じますよね。
床に何が敷いてあるかによっても人の心持は変わります。
ノリがピシと効いたシャツを着ている人は仕事もできそうです。
そしてそれは、ほとんど感覚的に、”そんな気がする”で判断しています。
気分によってすら、人の判断は変わります。
嬉しいことがあったあと唐突に本を買ってしまったり、少し薄暗いけれどオレンジライトで落ち着きをくれる洒落なバーに入るとなぜか一緒にいる異性が普段より魅力的にみえてしまったりしますよね。
失恋した後は、目の前に魅力的な女性がいてもあまり積極的になれません。
広告やCMは美しく好感度の高いタレントを起用することで、企業に対してそのタレントの”ポジティブな感じ”を見る人に植えつけます。
”プライミング効果”という人間の不思議な心の動きも最近では有名になってきたのではないでしょうか。
心理学の分野では、このような”自動的”な心の動きを”非意識過程”と呼びます。
私たちの社会的判断や社会的行動は、私たちが思っている以上に感情に影響されている。※1
そのような直感的な心の動きに働きかける力を持っているのがモノ、もっといえば五感であり、そのデザインです。
昔から多くのデザイナーや建築家が”デザイン”によって社会を、人々の心を変えようとしてきました。
著名な作品のもつ特異性はその作者の想いの顕現です。
また近年"スペキュラティヴ・デザイン”という新しい概念も登場してきました。
これはアンソニー・ダンとフィオナ・レイビーが提唱したデザイン概念です。
一般的な”デザイン”の理解は問題を”解決”することですが、二人が唱える新たなデザインは
「世界は常に人の頭から生まれている。人の発想が変われば、世界も変わる。」※2
という思想のもと、社会に問題を”提起”するデザイン。
解決策を提案するのではなく、未来の可能性の一つを見せることで人々に議論をもたらすためのデザイン。
ここでもやはり”デザイン”は人々に訴えかけるものとして存在します。
以上が私のデザイン観の一部であり、ここから出発して会社についてもお話ししようかなと思っております。
長くなりましたが、最後まで読んでくださりありがとうございました。
引用元:
※1 「進化と感情から解き明かす 社会心理学」 北村英哉・大坪庸介
※2 「スペキュラティブ・デザイン 問題解決から、問題提起へ。 ―― 未来を思索するするためにデザインができること」アンソニー・ダン&フィオナ・レイビー